図1 Félix Vallotton, The other’s health (Intimacies IX), 1898, Van Gogh Museum, Amsterdam, (Vincent van Gogh Foundation) |
ヴァロットンが画家を志していた当初、肖像画を多く描いていたが、1890年代になって木版画も制作するようになった。当時はリトグラフ全盛の時代であり、もっぱら素描や写真の複製を作るものとして廃れつつあった木版画に、ヴァロットンは革新をもたらした。それまで西洋の版画で使用されていたグラデーションやハッチングなどといった伝統的な立体表現はほとんど使用せず、しっとりとした黒のおおきなかたまりと諧調のない白の色面で構成した。ヴァロットンは町の群集や街頭デモなどの街角の風景、入浴や男女の語り合いなどといった室内の親密な様子などの描写を得意としていた。とくに室内を舞台に男女の機微を鋭く描写した『インティミテ』(親密さ)のシリーズは彼の版画作品の頂点である。(図1)裏切りや無関心、心変わりなどの不穏な空気が表わされ、表面上の親密さに隠れた冷めた関係性を露わにしている。彼の印象的な版画は新聞や書籍に掲載されてヨーロッパだけでなくアメリカにまで広く流通した。
図2 Félix Vallotton, The Ball, 1899, Musée d’Orsay, Paris, bequest of Carle Dreyfus, 1953 |
「フェリックス・ヴァロットン」展は、6月1日まで開催。その後、東京・三菱一号館に巡回予定。
ゴッホ美術館 Van Gogh Museum
Paulus Potterstraat 7
1071 CX Amsterdam
+31 20 570 5200
The Netherlands
http://www.vangoghmuseum.nl (日本語ページ)
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開館時間:
3月1日から9:00-18:00 (金曜日は22:00まで)