2012年11月28日水曜日

-号外- 2013年3月から、日本全国5ヶ所で「ミュシャ展~パリの夢、モラヴィアの祈り」開催!



来年3月から、日本テレビの主催で「ミュシャ財団秘蔵~ミュシャ展~パリの夢、モラヴィアの祈り」展が日本全国5ヶ所で行われる。
2004年~2006年にかけても、財団の全面協力の下にミュシャ展を開催したが、日本テレビによる2度目の開催に相応しい構成に一新し、「あなたが知らない本当のミュシャ」をキーワードに、作品の紹介を通じて、ミュシャ本人の未だ知られざる哲学、思想、祈りなどに焦点をあてる。


東京展
2013年3月9日(土)~5月19日(日)
森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階)

新潟展
2013年6月1日(土)~8月11日(日)
新潟県立万代島美術館

松山展
2013年10月26日(土)~2014年1月5日(日)
愛媛県美術館

仙台展
2014年1月18日(土)~3月23日(日)
宮城県美術館

札幌展
2014年4月5日(土)~6月15日(日)
北海道立近代美術館



*展覧会の詳しい内容や、チケット販売の情報は、ミュシャ展オフィシャルサイトへ。http://www.ntv.co.jp/mucha/


2012年11月8日木曜日

ロッテルダムでSAMURAI展を見る




オランダ第2の規模を誇り、取引額では世界最大とも言われる港湾を抱えるロッテルダム。ここには、名画のコレクションを誇るボイマンス・ファン・ベーニンヘン美術館と、コレクションを持たずに、良く練られたテーマの展覧会を継続的に行うクンストハル美術館が知られている(最近の大規模な盗難でも知られたが・・・)。また、戦時中の爆撃により破壊された市街地には、キューブハウスをはじめ、その時代の先端を行く建築物が立ち並ぶ「都会」的な都市である。

市街地から港湾の方に少し外れた場所に、ワールド・ミュージアムはある。ロッテルダムに立ち並ぶ近代的な建築物ではなく、伝統的なオランダ風の建物を改装、2009年に現ミュージアムとして再出発した。ワールド・ミュージアムは、アジア、オセアニアのおよそ2000点にも及ぶ宗教に縁のあるオブジェを中心に展示している博物館である。




ここで今、オランダで話題を呼んでいる展覧会が開かれている。タイトルは「サムライ」。日本の武器・武具の展覧会であるが、サムライの戦いに代表される「武士」の側面と、その裏側にある禅的な精神世界、さらにそこから生まれた独特の文化にも踏み込んだ意欲的な展覧会である。鎧、兜、刀剣類、幟や袖印などの武器・武具の他、武将に好まれた文芸の一つ、「能」の能面コレクション、武士の姿を描いた浮世絵の数々、戦いの場面を描いた屏風絵など、300点に及ぶ作品が並び、見るものを圧倒する。特に、武将たちが戦いの作戦会議をしているかのような雰囲気で鎧兜を並べた部屋や、兜だけのコレクション展示の部屋は、展示も見やすく、かつ見ごたえ十分である。

日蘭修交400年が過ぎたオランダには、ライデンのシーボルトコレクションや、民俗学博物館に多くの日本の文物が残されているが、今回の展覧会、鎧・兜の多くは、フィレンツェのStibbert Collection からの出展である。18世紀の終わりに、ベンガル地方の東インド会社総督であったジャイルズ・スティッベールトが富を築いた一家で、ジャイルズの孫フレデリックが、受け継いだ巨万の富をもって蒐集をし、自宅のヴィラを博物館にしたということである。フレデリックの死後、コレクションはフィレンツェに寄贈され、現在は一般公開もされているが、フィレンツェ市内から少し離れた地の利の悪さからか、あまり訪れる人はいないらしい。



日本の甲冑の数々は、外国に放出されてしまったものが多いというが、こうしたコレクターによって、また日本の人たちの目に触れることができるというのは嬉しい。日本に残っている武器武具の多くが、いわゆる殿様の持ち物として代々伝わってきたものである一方、今回の展覧会で見られるような甲冑は、どちらかというと、殿様ではない、上級・下級武士たちの持ち物だったものが多いようだ。江戸時代、平和を享受した代償のように武士たちの生活が苦しくなり、代々伝わった甲冑を生活のために放出した際、家紋や名前を削り取ったということだ。そのために、本来の持ち主がわからないままになっている。いつか、そうした甲冑たちが、日本に里帰りする日がくるかもしれない。
もう一つ、徳川将軍家から、時のオランダ国王ウィレム三世に贈られた刀剣と屏風、さらに鎖国の日本がオランダに対して通商を許可することを記した許可状などは、なかなか目にすることができない展示品で、展覧会の目玉的な存在となっている。

ロッテルダムの「サムライ」展は、来年3月24日まで公開(月曜休館)。
ワールド・ミュージアム Wereldmuseum
Willemskade 22-25
3016 DM Rotterdam
the Netherlands
http://www.wereldmuseum.nl
開館時間:
火ー日 10:30-17:30
休館日 毎週月曜及び元旦、4月30日、12月25日