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図2 会場の一つである元内務省 |
会場の一つ、ハーグ市役所内アトリウムでは、開会式に続き、電子音楽界の先駆者、モートン・サボトニックが、代表作「シルヴァー・アップルス・オブ・ザ・ムーン」を、デジタル/アナログ機材を駆使したアナログシンセサイザーを用いて、メディア・アーティストLillevan と共に披露した。
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図1 Ryoji Ikeda – test pattern |
初日には、蛍光灯を楽器として扱うことで知られる伊東篤宏とダイアモンド・バージョンのコラボレーションが披露された。二日目は、コンピューター情報(データ)を音源と映像に転換することで有名な池田亮司がトゥディズ・アートに初登場し、作品「テストパターン」を披露。淡々と繰り返されるノイズ音源と、それに連動して高速で点滅する白黒の縞の映像が「氷の宮殿」とも呼ばれる市役所(リチャード・マイヤー設計)の建物に映えた(図1)。
市役所に隣接する元内務省の19階建のビルがもうひとつのメイン会場である(図2)。低層階には特設ステージとバーが設けられ、 内務省時代には出入りが厳しく制限されていた場所で、一般客が音楽にあわせて踊るめずらしい光景が朝まで続いた。高層階は、そのままアートの展示スペースとなり、観客は広大なビルの中を探検するように巡回した。
二つの会場をつなぐように配置されたのはコッキー・エイクの作品であり三つ目の会場でもある「Sphæræ」。プラネタリウムのような球状の天井が特徴で、中では音楽と光を組み合わせた作品が繰り返し上演された(図3)。
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図3 会場'Sphæræ' by Cocky Eek 作品: Yamila Ríos + Joris Strijbos – COVEX |
2005年に初めて開催されて以来、経済環境に左右されながら独自のスタイルを保とうと模索し続けてきたトゥデイズ・アート。今回が9回目だが、文化予算の削減が続く中での開催は、今後容易ではないだろう。しかし市役所、元内務省という公的な施設にバーやダンスフロアという本来の目的とは間逆の異空間を作り出す発想は注目に値する。主催者側は今後日本を含む海外への進出も視野にいれているという。
日本テレビヨーロッパもトゥデイズ・アートを支援している。
トゥデイズ・アート TodaysArt